コーヒーが大量に消費されるようになった「ファーストウェーブ」より時代が変わり、ブルーボトルコーヒーの日本上陸の頃より、1杯のコーヒーを美味しく楽しむ「サードウェーブ」が到来し、ご自宅でコーヒーを楽しむ方が増えているのではないでしょうか?
今回は自宅でおいしいコーヒーを楽しむために知ってほしいことを7つご紹介していきます。
美味しいコーヒーとは嗜好品という性質上、人それぞれです。
その中で、共通するコーヒーらしい「味」 「香り」 「ボディ」 がしっかりしていることが美味しいコーヒーです。
それらを形成する素材から抽出までのポイントを紹介していきます。
おいしいコーヒー豆を使う
おいしいコーヒー豆とは
コーヒー豆は先物取引や各国のグレーディングと呼ばれる収穫された標高などの格付けにより取引をされ、コーヒーの味自体を評価して取引をされてきませんでした。
本来、コーヒー豆の持つ風味の素晴らしさを、消費者が飲むのと同じように、液体の状態で評価し取引を行うようになったはことがスペシャルティコーヒーの始まりです。
スペシャルティコーヒーの定義は各国により異なりますが、共通して言えることは「おいしいコーヒー」であることです。
日本においても一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会(通称:SCAJ)が定めるスペシャルティコーヒーの定義があります
消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
SCAJ スペシャルティコーヒーの定義 http://scaj.org/about/specialty-coffee
風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)
具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。
そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。
さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。
日本スペシャルティコーヒー協会は、生産国から消費国にいたるコーヒー産業全体の永続的発展に寄与するものとし、スペシャルティコーヒーの要件として、サステナビリティとトレイサビリティの観念は重要なものと考える。
要約すると以下の通りです。
- 美味しいコーヒーであること。
- 各工程における品質および品質管理が適正であり欠点豆が少ないこと。
- サステナビリティ(維持継続性)があること。
- トレイサビリティ(追跡可能性)があること。
スペシャルティコーヒーはおいしいコーヒーを維持継続させるために、コーヒー豆の先物市場には流通させずにダイレクトトレードを行います。
そうすることでコモディティ化をせずに、コーヒーの品質および価格の適正化に努め、よりおいしいコーヒーの発展につながります。
おいしいコーヒー豆の見分け方
コーヒー好きの方の中には「ブラジルのサントスが好き」な方も多いと思います。
サントスは南米最大の港の名前であり、世界最大のコーヒー輸出港です。そのコーヒー輸出港にブラジルの多くの地域からコーヒー豆が集まります。集まった中から、スクリーンサイズや欠点豆の混入率により仕分けられ「ブラジル サントス No.2 S18」などとして出荷されています。
こういったコーヒー豆は詳細なトレーサビリティを欠いていること、また味の評価を経ていないこともあり、スペシャルティではなく、「プレミアムコーヒー」と呼ばれることが多いです。
名称の通り、港の名前が付き、そこに集まる複数の農園のコーヒー豆が混合されていることが多いです。こういったコーヒー豆は「ストレートコーヒー」と呼ばれることもあります。
ではスペシャルティコーヒーのようなおいしいコーヒー豆はどうやってさがせばいいのか?
簡単な方法は、スペシャルティコーヒーで検索すると、スペシャルティコーヒー専門店が多く出てきます。
- 原産国だけでなく農園名もしくは農協名などが記載されていること
- 精製方法(=プロセス)が記載されていること
- フレーバーコメントが記載されていること
このあたりが記載されていれば、SCAJが掲げているスペシャルティコーヒーの定義を満たすため、判別しやすくなります。
お店によってはわかりやすくするために、上記のような情報をあえて記載しない場合もあるので、わからない時は聞いてみましょう。
おいしいコーヒーをいれるなら新鮮なコーヒー豆を使う
おいしいコーヒー豆は要因は原料だけでなく、その「鮮度」も重要な項目の一つです。
よく抽出においては「煎りたて」「挽きたて」「淹れたて」がおいしいコーヒーを淹れるために大事と言われてきました。
実際、コーヒー豆は植物からなる果実の種子ということもあり、保存性は良く長期間にわたって保存が可能ですが、特に、スペシャルティコーヒーのようなおいしいコーヒー豆はその独特な風味特性を徐々に失われていきます。
焙煎工程を経る前の「生豆」の状態では、「ニュークロップ」「カレントクロップ」であれば、収穫からおおよそ1年以内のコーヒー豆のためその風味特性がよく表れるおいしいコーヒーといえます。
しかし、生豆の状態の鮮度はコーヒー豆専門店でも記載されていないことが多く判別しにくいため、購入される際の目安として焙煎工程を経た後の「焙煎豆」の状態を参考にしてください。
- 焙煎日が記載されていること
- 焙煎日からのおおよそ14日以内であること
上記の2つのポイントに加え、可能な限り焙煎しているロースター(焙煎所)から直接買うことが望ましいです。
その理由として、ロースターから小売店に卸されているコーヒー豆は、消費者が安心して買えるよう賞味期限の記載しかなされていないことが多いです。
最近ではオンラインショップ で購入できるコーヒーロースターも増えてきたため、近くに店舗がない場合はそちらから買われることをお勧めします。
おいしいコーヒーを入れるには器具や好みにあった挽き方をする
新鮮なコーヒー豆を使うことと同様に大事なのが「挽きたて」であることもありますが、おいしいコーヒーを入れるためには、使用する器具や好みに合った挽き方とすることも重要です。
器具ごとの挽き目
上記の中で、エスプレッソとイブリックを除き、飲み心地のよいおいしいコーヒーをいれるにはそれぞれの器具により、コーヒーの粉と接触の仕方や温度、濾過方法が異なります。
そのため、コーヒーの粒度も変える必要性があります。
好みに合わせた挽き目による調整
同じ抽出方法でももう少し濃いまったりしたコーヒー楽しみたい方をいらっしゃると思います。
コーヒーミルやグラインダーも挽き目調整が細かくできる機種も増えてきており、上記の表の範囲内においても、コーヒー豆の挽きを変えることで濃度調整を行うこともできます。
細挽きにした場合と粗挽きにした場合のメリット/デメリットを簡単な表にしてみました。
細挽にすると、濃度が高く味がしっかりするが、雑味が出やすい。器具によっては抽出時間も長くなる。
粗挽にすると、濃度が低く味がスッキリするが、雑味が出にくい。器具によっては抽出時間も短くなる。
この2つのポイントを押さえておくと、自分好みの味にグッと近づけることができます。
おいしいコーヒーを入れるには適正な分量を守る
抽出器具に合わせた分量をコーヒーを入れる
特に、ペーパードリップでは多くの種類があり、また一つの種類の中でもサイズが異なるものもあります。
写真のように同じメーカーのものでも本体と消耗品それぞれサイズが異ります。
器具によっては1〜2杯どり用と2〜4杯どり用と分かれていることもあります。ものによっては、1杯どりに向かないこともあるため、普段どれくらいの容量をドリップするかに合わせて選ぶ必要があります。
好みに合わせたコーヒー豆の量による調整
挽き目と同様に、コーヒー豆の量によってもコーヒーの濃度調整を行うことができます。
お湯の量を一定の状態で考えた場合、
コーヒー豆の量を増やすと、
濃度が高く、味がしっかりするが。器具によっては抽出時間も長くなる。
コーヒー豆の量を減らすと、
濃度が低く、味がすっきりするが。器具によっては抽出時間も短くなる。
アイスコーヒーやカフェオレなどを作るときは、挽き目とコーヒー豆の量を調整し、しっかりしたコーヒーを抽出してから牛乳と混ぜることでおいしいコーヒーがご自宅でも淹れることができます。
おいしいコーヒーを入れるための新鮮な水とコーヒーに合った水を使う
抽出に使用する水によって、コーヒーの味は大きく変化します。
コーヒーのために水を用意するのは難しいですが、少しポイントをおさえておくだけで、コーヒー豆に合ったおいしいコーヒーになります。
新鮮な水で使用する理由
おいしいコーヒーを入れるためには、適度に二酸化炭素を含んだ水が良いとされています。
そのため、ポットなどで長時間煮沸されたものや一度沸かして放置していたものは使用しないようにしましょう。
また汲みたての水がベストですが、朝一や長時間使っていない後は水道管に溜まっている水なので同じく使用しないようにしましょう。
水の硬度による味の変化
ヨーロッパのコーヒー文化は独特で、特にイタリアにはスターバックス がないことでも有名でした。2018年、スターバックス リザーブ ロースタリーがオープンし、コーヒー業界でも話題となりました。
文化とともに、ヨーロッパのコーヒーはその水質により苦味を引き出すのに適しており、日本の水質は柔らかい風味を引き出すのに適しています。その要因が水の「硬度」です
硬度が高い「硬水」では、苦味成分がよく抽出され、チョコレートのようなビター感を感じやすくなります。
硬度が低い「軟水」では、風味成分がよく抽出され、その爽やかなフレーバーが感じやすくなります。
器具を清潔にしておくこと
抽出器具の清掃
コーヒーの器具も長く使っていると、コーヒーに含まれる油分などが付着していきます。
ドリッパーなどは使用後に中性洗剤などでの洗浄で十分ですが、特にエスプレッソマシンはその性質上、専用の洗浄液などを使う方が良く、洗浄も手順に沿って行う必要があります。
コーヒーミルの手入れ
抽出器具と同様に、コーヒーミルも豆を挽くごとに内部に微粉が溜まっていきます。
残っているコーヒーの粉が味に影響しますし、微粉が溜まることで豆の挽き目も適切でなくなる可能性もあります。
定期的に清掃しないと、コーヒー豆に含まれる油分が内部に付着し、味や風味が損なわれます。
おいしいコーヒーは器具にあった抽出温度などのルールを守る
抽出温度は何度?
よく喫茶店にいくと、「85℃」が一番と言われることがありますが、正解ではありません。温度によって味の出方が変わります。
温度が高いと、苦味成分が抽出され、抽出自体も強くなります。
温度が低いと、酸味成分が抽出され、苦味がなくなり、その爽やかなフレーバーが感じやすくなります。
よくネルドリップ専門店では、温度は低め、粉量を多め、時間を長く抽出することでまったりとしたコクと甘みを引き出していることが多く、温度を低めでオススメすることが多いです。
しかしながら、サイフォンでの抽出は沸騰し、蒸留することでコーヒーの抽出されるため、低温での抽出ができないものもあります。
そのため、お好みの味に合わせて、コーヒーの抽出器具も選ぶ必要があります。
おいしい抽出方法は?
コーヒーの抽出方法も様々です。
代表的なコーヒーの抽出方法は当サイトでも紹介しているのでご覧になってみてください。
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